《高校入試で偏差値60だった》 高1生・高2生がしやすい誤解 ~偏差値について②~
仮定「高校入試で偏差値60だった人は、普通に勉強すれば
高校3年時に偏差値60ぐらいになれる」 は正しいのか?
塾長の田中研一郎です。友塾ブログをご覧いただきありがとうございます。
さて、前回(2022.12.16) ~偏差値について①~の続きで、
今回は「高校入試で偏差値60だった人の偏差値は、大学入試ではなぜ50ぐらいまで落ちてしまうのか?」ということについて話してみたいと思います。
おおざっぱに「感覚的」にわかってもらえたらじゅうぶんだと思いますので、気楽に読んでください。
そもそも受験の世界で「なぜ偏差値を使うのか」というと、
テストの難易度に影響されない尺度で成績を表現するため、と言えばいいでしょうか。
「おれ、この前の模試で数学70点やってん」と友人に言われても
「その点数って、良いの?まあまあなん?」と疑問が生じますよね。
偏差値を用いて「おれ、この前の模試で偏差値65やってん!」というと
「おっ!コイツやるな!」と感じるでしょう。
つまり、点数では(70点と言っても)問題の難易度で評価が変わるので偏差値で成績を表すわけです。
もう少し詳しく言うと、統計学の世界では
「偏差値60」は全体(母集団といいます)のなかで「上位16%」になり、
「偏差値50」は「上位50%」になるとされています。
(平均点を取った人がちょうど真ん中の順位になるという「正規分布」の状況、という想定の話)
では、なぜ高校入試の偏差値60と大学入試の偏差値60は意味合いが大きく変わるのでしょうか?
それは結局のところ、
「全体(母集団)のレベル(学力水準)が上がるから」
つまり、「自分より下位の人たちが母集団から抜けて上位層の人が新たに加わり競争が厳しくなって相対的な順位が下がった」
ということなのです。
「全体(母集団)のレベル(学力水準)が上がる」とはどういうことなのか。
ポイントは以下の2点だと私は考えています。
➀「下位の人たちが母集団から抜ける」とは?
日本の大学進学率は55~58%、つまり半分強の人しか大学に進学しないということ(高校進学率は99%)です。
なので高校入試は同学年全体が競争相手でしたが、大学入試では同学年のうちのおよそ上位半分の人のなかでの競争になるということなのです。
②「上位層の人が新たに加わって」とは?
大学入試では、中高一貫の国私立高の人たちが競争相手に入ってきます。
中高一貫校に通う生徒は高校入試は経験しておりませんが、大学入試で当然ながら競争相手となります。
その人たちの割合は10%弱でさほど多い割合ではありませんが、彼らは小学生時代に既に受験勉強をして入試を突破した経験者であり、さらに中学では進度の速い「中高一貫校カリキュラム」で中2か中3時代に既に高校分野の学習をはじめています。
ですから高1・高2の段階では公立高校の生徒より断然有利で、したがって模試では概ね上位層に入ってくると考えられます。
おもにこの2つのポイントが皆さんの偏差値に影響を与えるのですが、わかりやすくするために、パーセンテージではなく、仮に同学年全体が100人だったとして考えてみましょう。
高校入試で偏差値60だった人は、
高校入試時点
100人中16位→上位16%→偏差値60
大学進学しない人を除くと、
55人中16位→上位29%→偏差値55
中高一貫校生(10%)が上位に入ってくる
65人中26位→上位40%→偏差値52
いかがでしょうか。少しイメージがわいてきたでしょうか。
前回お伝えしましたが、あらためてこの状況をなぜお伝えしたかというと
中学生の時のように勉強をやりだしたからといって簡単に成績は上がってきません。
したがって、粘り強く、基本に忠実に、繰り返し学習を継続することが大切であり、
最後まであきらめずにその努力を続けてほしい
ということをご理解いただきたいからです。
厳しい状況のように感じられるかもしれません。でも、みなさんにはまだ時間があります。
さあ、受験に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。
大学受験は短距離走ではなく長距離走です。これから徐々にでもいいのでペースアップをしていければいいわけです。
マラソンで自分では「上位だろう」と思って走っていたが、コーチが沿道から「今、真ん中ぐらい!ペースアップしよう!」と声をかけてきた、と思いましょう。
今回はここまでにします。長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。この話がみなさんの「勉強スイッチON」にすこしでもつながってもらえれば大変うれしく思います。
次回2月ごろになりますが、友塾の新年度の授業概要などをお伝えできればと思います。
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