《高校入試で偏差値60だった》 高1生・高2生がしやすい誤解 ~偏差値について①~
兵庫県立川西緑台高校・大阪府立池田高校の 高1生・高2生の方へ
《高校入試で偏差値60だった》高1生・高2生がしやすい誤解 ~偏差値について①~
仮定「高校入試で偏差値60だった人は
普通に勉強すれば高校3年時に偏差値60ぐらいになれる」
は正しいのか?
塾長の田中研一郎です。友塾ブログをご覧いただきありがとうございます。
普段高校生と話をしていると、上記のように考えている高校生が多いように感じます。
高1生・高2生の方の中には、模試の成績表を見て
「(高校入試で偏差値60だった自分が)偏差値48! メッチャ落ちてるやん!」
「確かに、高校に入学してから部活が忙しくて、学校の宿題もあんまりできていないからな…」
というように、「高校に入学してから成績がガタ落ちした」と思っている人がたくさんいるのではないでしょうか。
実は、標題の「仮定」については「普通に勉強すれば」が間違いで、正しくは、
「高校入試偏差値が60の人が大学入試偏差値を60にするのは結構大変である」
です。
ですから、
「もし、みなさんが偏差値60の大学を志望しているなら、相当頑張らないといけませんよ」
ということなのです。志望校と自分の現状との正しい距離感を掴まないと効率良く受験勉強を進められませんので、この点はとても大切です。
「でも、なぜ?」という理由をお話しする前に、まず、大学合格実績を使って実際どうなのかを説明します。
【反証】(仮定が当てはまらない証拠・事例)
「仮定」が正しければ、偏差値60の高校の人の大半は大学入試偏差値60ぐらいになっているはずであり、偏差値60ぐらいの大学に合格しているはずです。
実際、進学実績(合格実績)はどうなっているでしょうか?
まず、「偏差値60の大学というのはどこの大学なのか」を確認しましょう。
条件:大阪府と兵庫県の経済学部、理学部の国公立大と私立大 で検索
(数字は偏差値。国公立大は前期日程、私立大は全学部日程)
大阪大学 (経済)65.0 (理)60.0~62.5
神戸大学 (経営)62.5(理)55.0~57.5
同志社大学(経済)60.0 (理工)57.5~60.0…
(大学検索サイト「パスナビ」より)
いかがでしょうか。
偏差値60とは関西のトップレベルの大学合格ラインで、かなり“スゴイ”成績なのです。
それでは、川西緑台高校と池田高校の合格実績を確認してみます。
川西緑台高校の合格実績をみると、
大阪大学 9名、神戸大学5名、同志社大学35名(うち進学者8名)
池田高校の合格実績は
大阪大学 7名、神戸大学1名、同志社大学61名(進学者数は不明)
※以上、それぞれ、同校のホームページより抜粋(2022年度入試)となっています。
これを見ると、偏差値60以上の人は学年の上位の人であり、大半を占めているとは考えにくいです。
ちなみに「学年の大半の人が偏差値60以上の大学に合格している」高校はどこなのかといいますと、大阪では北野高校、茨木高校…、兵庫では市立西宮高校、神戸高校…と、
高校入試の偏差値は60を大きく超えている高校に限られてくるのです。
これらのことから
「高校入試偏差値が60の人が大学入試偏差値を60にするのは結構大変である」
という状況がご理解いただけたでしょうか。
では、冒頭の「仮定」を言い換えて
「高校入試の偏差値が60の人は高2時点ではどれぐらいの偏差値になるのか?」
というと、「偏差値48~52」 という感じです。
塾の講師からみると、冒頭の例の人(偏差値48で焦っている人)の成績は
「偏差値2~3低いけど、それぐらいだろうな」
という印象であり、
「偏差値60を目指すというのではなく、まずは偏差値55を突破するための勉強をやっていきましょう!」
とお伝えしたいのです。スポーツでも無理をして過剰な負荷をかけるトレーニングは故障のもとですよね。やはり、「ひとつずつ課題を克服していく」ことが大切なのです。
本日は、ここまでとします。
次回は、
「なぜ、大学入試の偏差値は高校入試の偏差値とこんなに差が出てしまうのか?」
「国公立大や関関同立大を目指す人が模試成績表の偏差値を見るときの注意点」
についてお話ししたいと思います。
友塾ブログを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。